10/07/24 23:23:00 IDPvfyG7
「夕焼け」
小さなスピーカーから流れるジャズを
君と二人で聴いている時間が
好きでした
明かりを消した部屋で
ただ流れる音楽を聴いていた
薄暗い部屋の片隅で
ギターを爪弾く君は笑って
僕の好きなあの唄を
テンポを落として
歌っていました
タバコの煙の向こうに
君の笑顔があって
声を聴きながら僕は
目を反らします
ずっと聴いていたいから
部屋を出た君を
夕焼けが照らした
古びたアパートの前で僕は空を見ている
君は振り返りながら手を振っている
まだ笑いながら
外灯の灯り始めた道を歩いていく
さよならを言わないまま