10/02/07 23:01:42 4MSaxl2Y
『少年だった怪物による髭の魔女の復活の話』
―二人の魔女の名はルーフレンテ
赤髭のルーフレンテと青髭のルーフレンテ
人を憎みて全てを憎む
魔女のお供の守護獣の
鋼の体は海を蹴り
空と大地を抉り取り
二つの瞳は虚空裂き
息の一つで町ごと殺む―
嗚呼、僕には力が足りない
弱すぎて君を守れない
それでも僕は旅に出た
行くしかなかったから
二人そっと抜け出したあの夜
古びたあの木に突如落ちた雷
得体の知れない何者かが現れた
奴らは無を望んで命を否定していった
気がつくと君の背中に大穴が開いていた
いや正確には君の背中が無くなっていた
君の手を掴もうとしたその瞬間
僕の手の先が吹き飛ばされた
「 」(声にならない叫び)
奴らは全てを壊していった
あとには何も残らなかった(僕以外)
回る回る忌まわしき記憶
鮮血の華は咲き乱れ
零れ落ちる絶望の雫
臓物(ハラワタ)の川を下ってく
「体の大部分を失いながらも少年はひたすら逃げ続けた
恐ろしい光景から
だが惨劇はこの星のあらゆる場所に及んでいた」