10/02/05 23:31:42 e1kXM32o
カラオケボックス
加藤ミリヤを歌っている君を見ると
首を絞めたくなる
別に君が嫌いな訳じゃないんだ
時代が悪いんだよ
僕はもがいていた
スピーカーがこの部屋の酸素を薄くするから
息苦しくて死にそうになる
けれども、それよりもきっと
はやく曲を入れなくちゃいけない
僕が死ぬよりも大事なことがあると知っていた
「知らない曲歌っても大丈夫?」と僕は聞いた
「うん、皆にその曲のよさ伝えてよ」と君は笑って答えた
生暖かいマイクが僕に届く
気持ちの悪い暖かさだ
ぶっ壊してしまいたい
だけどそれを口元に寄せると
タバコの優しい香りがした
ハローベイビー、教えてやる
お前らに伝えたいことなんて全くねえ、
だから理解しようとするな。考えるな。
世界は平和にはならない、
なにも核だけが人を殺せるわけじゃない。
そんなの当たり前のことだって、
お前らそう思うから伝えたいことは全くねえんだ。
スピーカーが酸素を吐き出し始めた
君は窒息死して植物になり
僕はその植物の写真を撮ったりしてブログに載せた
その植物の種はどんな病気でも治せる幻の植物だと
驚いた様子で中国の天才薬剤師が僕のブログにコメントをした
そうしたことからニュースにも取り上げられ
世界各国の病に苦しむ人々がそれを待ち望んだ
そしてその植物は順調に育ち
その種は世界に広まり
この世界に病気というものが無くなった
そんな五分間の平和が訪れたことは
この部屋の中の僕だけの出来事