君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.89]at POEM
君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.89] - 暇つぶし2ch490:名前はいらない
10/02/05 18:05:53 eV/qQ0lN
風呂に入ろうと思ったが、寒すぎて体が思い通りに動かない。
意を決して一歩踏み出したものの、途方もない時間に段々と飲み込まれていく。
その様子に萎縮してしまった俺は震える体を抱きしめて、のそのそと亀のように移動する。
遙か彼方から聞こえてくるシャワーの音は、まるで赤子の泣き声のようで、一緒に泣いてしまいたい気分だ。
それでも俺は風呂に向かう。
この距離を実感しなきゃいけない。

どんな些細な弊害も今の俺には泥のように重たい。
薄汚れた服が自分の象徴に見えた。
自由の女神にリバティはない。
少しも感じられない。
不感症のような感性がベッドで蠢いて、まるで巨大な虫のようだった。
その巨大な虫は女を彷彿させる。
虫が苦手な俺の女はきっと今日も違う男と寝ているんだろう。
お前と対峙することで俺は敗北感を感じ、トイレに汚物を撒き散らすことしか出来なかった。
糞みたいな俺を拭う紙はない。

風呂で全てを洗い流したい。
生きている証。伸びきった爪を噛む。
靴下に開いた穴から飛び出した小指が、俺のだらしなさを強調する。
たるみきった自分の顔を見て、大人という化け物に喰われちまった気がした。
そして子供という化け物に荒らされた部屋を見渡し、どちらに怯えるべきか考える。
一歩ずつ踏み出す。
子供も大人も曖昧なボーダーラインの上をさ迷っているだけなんだ。

いざ生きるという意識をしてみると、呼吸にさえ違和感を感じる。
目まぐるしい毎日を見て、社会人になることが絶望に感じた。
ゴミのように増えていく自殺者を見て、ただ頷くことしか出来なかった。
世界地図の上にに立たされて、俺はただ風呂を目指し歩かされる。

孤独のような寒さに俺は小刻み震えた。
その様はまるで時計のようだ。
蛇口を捻る余裕もなく、地に足をつく力もない。
ただただ布団の中で俺は、小刻みに震えるだけだった。


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