10/01/29 17:51:04 rXDioGt5
んじゃ評価お願いします
「テニス」
ラケットを握りしめて握りしめ終えてから手を放す
ウィンドブレーカーとシューズを脱いで、ジャージの上下を脱いで、
シャツとスコートを脱いで、ブラのホックを外してパンツを下ろした
風が落ち葉を運び吹かして邪悪な私たちのパンチラが水面下に映った
ネットに小枝が挟まった
素振りを強制する先輩部員を軽蔑した
人々の営みを鼻で笑った
よくわからないビルの街々をバクゲキした
アキバのオタクを馬鹿にした
遠くの夜空の電球のつるつるとした発光を愛した
誰一人いないコートの緑が白く光った夜だった
私のあだ名は狐だった
狐みたいにつん、と尖って閉じた瞳と唇は
なぜだか震えた吐く息に、尖って尖って尖りきって
少しだけ唇を元に戻して、おなかがすいたと呟いてみた
友達や家族や恋人は、今頃きっと晩御飯
もうすぐいつでも食べに行ける、それでもやっぱりもう少しだけ
今は忘れて空気を吸い込む流れる涙は自己愛だ
どこからか、そう電信柱の向こうから
恥ずかしそうに見ていた影がこん、こん、こん、と
心臓の鼓動に合わせてこん、こん、こん、と
暗闇の金網にやけに響いてそれはもちろん気のせいで
ソックスを決心してやっと脱いだ私の影が
コートの感触を一歩ずつ、見えないように、酔わないように
タッチラインに触れないように爪先立ちでこっそりと
私のきれいな足の裏は、まだまだ汚れちゃいないのさ