10/01/28 10:21:55 H6RtC1VO
「槽の鉢」
絆創膏の匂いが鼻先に
染み着いて
長く住んだ部屋の片隅に
うずまって
自分の輪郭の溶ける夜に
嗅覚ばかりが冴えきって
月が眩しいからカーテンを引いて
服を脱いで 境界をさまよって
聴覚が 息を吐く
木材が種にはぜて ぱちリ
香ばしく
消毒液の匂いは無くなって
音がひとつひとつ焼けていく
月明かりが眩しいから
轟々と鳴く炎が見えてしまうから
この夜にまた僕は
燃えて溶けていく感覚
この夜にまた僕は
燃えて溶けていく感覚
この夜にまた僕は
燃えて溶けていく感覚
それはまるで、炭をはむ金魚