09/12/31 01:09:52 XLcdS9bn
1969
山の頂へ続く空気は無限微小の針のように冷え、ハンドルを握る手の熱は極大のポテンシャルに置き去られた。
太ももと足先で構成されるサイクルは、この身体を月へと小さく小さく進めている。月の半径が積分される。木の葉の天蓋が開いてゆく。
アポロは夢を見る。粒のような希望はアポロにより増幅され、エネルギィは無尽蔵だ。背中にあるものは未来の光。月は既に未来に内包されている。僕らの宇宙はこの目に映る全てだ。僕らの宇宙はこの目に証明された。
僕らは月へと近づいている。この目がまっすぐとらえている。僕らは僅かに山の途中。見上げる必要はない。
月は太陽のように輝いている。