09/12/23 18:21:10 V917jQ/d
『影姿-えいし-』
背中をえぐる冷酷な息。
ただこの感情を覚えていた。
暗黒の闇から広がる、朽ちた金管楽器の不旋律な重低音。
闇の中から出てくる影。
そこにいるのは誰?誰なんだい?
影は消えた。
まんまるい大きな月は闇の中で1つ輝く。
月は、闇を飲み込んでやくれないの。
それだから、光ってるの?
孤独であるのを知って欲しいの?
あんなに大きな月でさえ、この胸の奥の闇さえも照らすことはできないの。
誰か私の心を、照らしてよ。
だから、私はこの胸を開いてるのよ。何もかも。
傷つくより愛されたいよ。
何も届かない、この胸が、涙と変わる時さえも
愛しくなんて思えないよ。
ただただ憎んでしまうんだ。
人との楽しい時さえも
何でもいいと思えるよ。
後から気づいてしまうけど、それまでは夢を見てみていたい。
闇のあの影が。月から手を差し延べてくれたんだ。
私は迷わず手を握ったんだ。
影は光を飲み込んで、真っ黒に染めてしまうけど、
月夜に照らされ飛び散った。
私の体は少しずつ冷たくはなってはしまうけど。
悲しくなんてないんだよ
そんなこと言うと
最期くらい人として生きてみたいんだ
闇夜の月に照らされたのは真っ