09/06/25 21:47:50 wOuaLRYQ
「暗黙の青春」
きらめく
数字
と
文字
が暗がりの底でおどり狂う植物の
月夜がむせぶよりも痛ましい喘ぎに驚き
まどろむバス停の時刻表から飛び立った だが
地平からもれる白い暁線にほとんどが
焼かれ灰となって
太古より存在するレールの上に落ちてしまった
絨毛のような中吊り広告を逆立てる列車が何度も
悲喜の間を往復し 変化に乏しい景色の中
無理やり身をよじり 偽りの‘記号’をうみだした
車窓から突きでたふるえる半透明のまつ毛に
毀れ、したたる観念の粒は
光る泥の川に溶けこんで
滾つ海へと運ばれた
黒い波濤が青ざめた原石を掬いだすかたわら
羽毛のない長大な候鳥の嘔吐に
浸かった哀れに夢見る‘道’の上で
ひねもす乳房を吸い続ける赤子の霊魂
の褪せた輝きを受けながら
沸き立ち悪臭放つ岸辺に立ち並ぶ
偶像を一つ一つ犯していた
海上をまろぶ
黄色い、赤い、黒い、白い、褐色の
彼ら彼女らの
皮膚
の裏側に刻んだタトゥーを
畏怖する血脈の思念は
分裂し 方々に枝分かれした憧憬の
焦げた端末に還元される亡者達にこびりつくと
水沫よりも軽くて脆い
‘アルバム’の奇声は凝固し それら塊は
くすんだ虚構の節目を埋めていった
やがて
青春が沈黙すると
かつて夕闇を愛した若者たちは
自ら首輪をはめて歩きだした