09/06/22 12:26:48 1uD8u46E
「枯渇」
餓鬼がいる
視界はセラフィン
涙目で
お前を羨む
目の前で頬張るな
口を米で満たすな
仄かな海苔のかぐわしさ
埋められた宝の
梅の隠し持つ
豊満な旨味
涎は滝のように
喉を潤す
涙は河のように
喉を潤す
足りない、足りない
不足、している
物質の感触 噛み砕く快感
何でも構わない
生の食感を 生命の歯ごたえを
口に詰めさせてくれ
醜い腹を持つお前が羨ましい
三重に重なったお前の腹部が
食物を消化する快感に震える姿は
生の躍動に 生きる証明に思える
素晴らしいことだ
物を食らうことは
生き物と名付けられたものの特権なのだ
ならば這い蹲ろう
お前の膝元なら食べこぼしもあるだろう
血潮を込めた肉の脂さえ口に入れば
喉は鳴りなり胃は叫びだして
お前を神と崇めだすだろう
限界は視神経を先に壊す
緑に透かされた世界がある
お前が貴様が最後に私に
握り飯を与えた所で
緑の米は味もしない
もはや嗅覚も体も意志も夢も舌もなにもかもが崩れ落ちるひとひらの食材