09/06/19 13:21:01 C17WXLAn
何年ぶりかの帰郷
「田舎に泊まろう」に
出てくるような
辺り一面の田園風景
村唯一の駅まで
軽トラで迎えに来た
年老いた父
おじいちゃんの呼び名
本当に似合うようになった
でこぼこの道
荷台ではしゃぐ息子と俺
嫁は助手席で
何度も後ろを振り返る
家では母が茄子の収穫を
していた
暑く照り付ける陽射し
扇風機に顔を近付け
宇宙人の真似をしていた
エアコンしか知らない
息子は俺の悪ふざけを
不思議そうに見ている
「ワレワレハ…
ウチュウジンダ」
俺が子供だった頃
こんな光景
夢にも思わなかった
俺に子供が出来て
成長に一喜一憂すること
夢にも出てこなかった
夕焼けに赤とんぼを
追いかける
してることはあの頃と
変わらない
俺自身も変わったとは
思わない
でも確かに俺は
大人になったし
嫁は母になったし
父母は丸くなったし
息子は多分
恋をおぼえたし
日々成長していくのは
嬉しいのだけど
どこか寂しくなるのは
この風景だけの
せいじゃない
赤とんぼに怖かっていた
何年前かの息子が
今じゃ俺に捕まえたよと
差し出してくるんだから