09/05/19 17:34:13 U3JCjwaR
『御幸ヶ浜』
誰も泳げやしないようなぎざぎざの海岸線に
打ち捨てられた醤油の瓶が転がっている
思い出すのは
いつも青ざめた海原ばかり
水平線の向こうに
後悔の夕日が沈んでゆきます
冷たい渦に溶けてゆく
揺れる光の道筋を
小舟で辿る少女の絵を
幼い時分に描いた女は
ひっそりと唇を噛み締めている
私に
逞しいヒレがあれば
海の水も呑まずに済んだのに
貴方に
私と同じものが見えたら
再び沖へ向かわなくて良かった
いっそ泳いでゆきませんか
毎年ひとりかふたりは消えてゆくのだという
この御幸ヶ浜で