君のセンス5段階+αで評価するよ{vo.82}at POEM
君のセンス5段階+αで評価するよ{vo.82} - 暇つぶし2ch478:名前はいらない
09/05/10 22:57:11 AksMPNDE
「倒れるまで」

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倒れるから 
受け止めて

受け止めるふりだけするなら
そのままどいて
コンクリートの角で頭を割ってみせるから
ニビイロのしぶきを上げてみせるから

受け止めるふりさえもしないなら
さようなら
私も倒れるのをやめて反対側へ
ニビイロの巨大な塔が立つ森へ向かって歩き出すでしょう

私は迷路のどこかで生まれてしまったハムスター
左腕をもがれてしまったハムスター
左腕の代わりに猫を選んでしまった女の子

これは左腕に猫を装着した女の子のお話です

宗教的な匂いのする巨大な塔が遠くに聳える森から身を守るかのように
すべての道路が低い壁で囲われた町がありました
砂埃と綿埃で充満するその町に人影はなく
遠くのほうから子供達の遊ぶ声が聞こえていなければ
そこは煙がかったゴーストタウンでした
埃で石灰のようになったテーブルを挟んで
女の子と左腕の猫とが最期の話し合いをしています
猫は早くつまらない愛の話なんかやめて遊びに行きたがっています
「あんたはこんななんにもない町へ来ても遊べる術があるわけ?」
女の子は遠回しに本題を切り出しました
「エノコログサをくれ。エノコロさえあればエノコロを増やして遊ぶことができる」
猫はあからさまに急かしました
女の子はむくれるでもなく真っ直ぐに猫を睨みながら言葉を返します
「ねこじゃらしはもうやめて。一生やらないと誓って。真面目に働いてよ」
「働いてどうすんだ? こんな、なんにもない町で」
「なんにもないわけない。ほら、子供の声が聞こえる。耳はあなたのほうがいい筈よ」
「でも、おいらは猫だから」
「猫だから、何よ?」
「おいらはお前の左腕だから」
「そうよ左腕がないのよこのあたし!」
「だからおいらは自由に逃げられるんだよ」

倒れるから
受け止めて

願い通りに受け止めてくれるなら

一羽の白い燕が埃を線で切り取って
行っては戻り
戻ってきては切る
「なんてシュピードだ」と猫が驚いているうちに燕の軌跡
それは大輪の光となる



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