09/05/07 18:04:48 bQzFDDDP
>>332
>>342
評価ありがとうございます
(特に題は無い)
私は今年で三十路になります。年々白髪が増え、肌の衰えを感じます。
時々胸の中から何かの鳴る音がします。
県境の長いトンネルを抜けるとそこは一面の青い海だった。
それでも大和路は全て山の中へと続く。
コオロギが悲しそうに泣いている。
小川のせせらぎの底に、二匹の大鯰がじっとしている。
「息をすれば気分が良くなるよ」
昔ある女に言われた言葉が思い出された。彼女は当時の私には妹のような、しかし―
いや、この話はよしましょう。
やがて夕日が訪れる。どこにいようと、一日は普通に終わってしまう。
私はそこにいた髭面の男から段ボールの家を奪った。
期待をかけながら。
次の一日が、見知らぬ始まり方をしないかと。
西に沈み行くこの夕日が、西から昇りはしないかと。
私は今年で三十路になります。年々白髪が増え、肌の衰えを感じます。
時々胸の中から何かの鳴る音がします。