09/05/06 09:43:12 WqIQrG+r
「降格」
目の前にたった五段の下り階段
ここで僕は考える
何か面白い降り方は無いものかと
普通に踏み外してみる
ありきたりでつまらない
逆立ちして降りてみる
もっと大変な事が待っていそうだ
出来れば踏み板をぶち破ってみたいが
何百何千の人の重みに耐えた階段は
そんな柔な考え弾き返すだろう
いいかげんイライラしてきて
遠回りしてでもここ以外から降りようか
とも考えた
でも下に降りた時
上には数十秒前の僕の残像が
冷めた目で見下ろしてるんだろうな
「ダサい奴だ」と
もう怖くて怖くて
たった五段の階段が降りれない
うずくまって目を伏せても
下から登ってくる人の視線を感じる
「早く降りろよ、邪魔だなぁ」
そんな声ばかり背中に刺さる
「また登りにきなよ」
混乱と雑音の中、確かに聞き分けられた言葉
恥ずかしいくらい陳腐な言葉
でも僕を立ち上がらせた魔法の言葉
僕は顔を真っ赤にし
目に溜まるものを堪えながら
「また登ってやる」と一歩
「絶対登ってやる」とまた一歩
踏みしめるように降りていく
見上げればやっぱり僕の残像
でも彼はちょっと照れ笑いしてるように見える
なんか無性にカッコつけたくなって
僕は背中越しに手を振った