09/05/05 23:31:31 i+HNrVT1
変化
昨日の朝の話。
時刻通りに、アラーム止めベッドを降りた僕。
クローゼットから制服のシャツとネクタイ、
ズボンを取り出し着替えを済ませる。
そして一階の洗面所に向かう。
そんないつもの朝だった。
レンズを入れようと瞼に触れた時、
ヒヤリと冷たい感触に思わず手を離す。
ガラス玉。
僕の右目はガラス玉に変わっていたのだ。
そして今朝。
右目はやはりガラス玉だ。
さらにもう片方、
左目は半透明の石に変わっていた。
シャワーを浴びる鏡越しの肩に、
プラスチックの様なものが生えている事に気付く。
それを引き抜こうとすると、
無感情に冷たいオイルがタラリと滴った。
何かが僕を支配しようとしているのか、
それとも別の僕が生まれるのかは分からない。
しかし驚く事はないのだ。
ポケットの奥に、鞄の隅に
どこにでも転がっている事なのだから。
『優等生』
『いい子』
『模範生』
親にも先生にも友達にも、
誰にも内緒で隠している。
僕は制服の内ポケットに隠しているのだ、
刃物と衝動を。
それを無差別に使う自分自身を、
恐ろしく思う。
だから明日
僕にどんな変化があろうとも
決して恐くはない。