09/05/04 20:10:27 Et8BB+z+
(とくに題は無い)
あれは深海に沈んでしまったような夜の出来事。
ウッドベースが曇天の街を歩く。
ふと顔を上げ西を見る。ビルとビルの間、遥か彼方には見知らぬ展望台。
目を凝らしたら親友のプラチナブロンドがそのてっぺんで手を振っていた。
雑踏の中のウッドベースを誘っているのだ。
ウッドベースは答えない、ただ街路樹の枯れた葉が、虫に食われて落ちるのを見つめるばかり。
プラチナブロンドは悲しそうに笑うと展望台のてっぺんで火を起こした。
あ と言う間も無く展望台も、プラチナブロンドも、一緒にふわり焼けてしまう。
ついでに空まで焦げたように見えたがウッドベースの瞬きするうちにさっと元通りになる。
残ったのは月とビルの灯ばかり。
そしてウッドベース。ここまでわずか30秒、あなたがこの詩を読みきるよりも、ずっと短い時間の出来事。