09/04/27 16:43:54 gXZK3E5a
模造紙
変化のない日常の、
中央線が今日も走る。
硬い鉄線路の上を、
曇天の下を進み、
操られているように、
振り出しに帰ってくる。
抜け出せない空の下、
人混みにまぎれむ、
弱っている固い目で、
音もなく通り過ぎる。
紙切れの端に描かれた、
人の形の線と点。
余剰分は切り捨てられ、
不足分は補われ、
歪な怒りの音が、
不自然に積み上がる。
ビルが並ぶ整然の、
作り出した空間の、
とんでもない大きさに、
ノミの心臓が潰れる。
今日もすっかり日が暮れて、
残酷なオレンジに浸る。
その光に照らされて、
ちっぽけな背が光り、
目が赤く濁っている、
目が赤く濁っている。
玄関を開けましょう、
靴を脱いであがりましょう、
風呂に入って洗い流し、
飯を食って栄養を取り、
糞をし布団に入って、
目を閉じたら夢を見る。
暗闇に目を開けたら、
白と黒しかない世界。
そびえ立つ高層ビル、
脆くて今にも崩れそう。
夢の中しかない世界で、
不安を感じた俺に、
安定だけを求める、
凝り固まった現実の、
恐怖が侵食をする、
明け方のパラレルワールド
頭が作り出す世界
模造紙で形作られた、
ビルディングが崩れ落ちた。