09/03/16 21:28:27 YLcaPhCK
「命」
雲ひとつなく晴れてはいても
太陽の光には少しも暖か味を感じられない
雪に覆われた原生林は真っ白い中に
葉を落とした木々の枝が見えるだけだった
それでもわたしは辺りの様子を仔細に眺めながら歩いていた
この森のどこかに真っ白な姿をした動物がいるらしい
しかし光が反射し眩い雪原にも
死んだように凍りついた樹木の枝々にも
何一つ生き物の存在を感じさせるものなどなかった
「この森の中でわたしの存在だけが唯一の命」
歩き疲れ白い息を吐きながらわたしはこんな思いに駆られた
ふと目をあげると鳶が空を舞っている
わたしを同じように白い姿をした動物たちを探しながら…