09/03/16 05:06:39 uresz7Yx
「もうみんな死んじまえ」
長く息をしていなくて、いつ死ぬのだろうと思ったけど、息をしている事に気付かなかっただけだった。
自殺志願者は僕に語りかけてくる。生きたい。
笑っても僕は嘲笑になるから悲しいんだ。
空気は憂ざい。お前がいるから僕は生きてしまっている。人間を殺せよ。宇宙だって望んでる。それだけだろ。酸素がなければみんな死ぬんだ。
権利も資格もないよ。
ないものねだりはよくない。
色白少年がナイフを持っている。
ナイフは彼の痛々しさを際立たせている。
それで誰を殺すの。彼は言った。ニンゲン。
精神的にはあまり健康とは言えない。少年は身体中を包帯で巻かれていて、中身がよくわからない。
ねぇ。聞いて。笑って。僕は言うんだ。そんな権利も資格もない癖に。
みんな生きてる。嫌になってる。怖がってる。悩んでる。
他人の悩み程ちっぽけな物は無くて、当事者にとっては最大級なのが悩みだ。
酸素がなければみんな死ぬんだ。
憂ざい。憂ざい。憂ざい。
色白少年は呟いていた。
つまらない世界がここだ。
世界とはつまらない物であって、ここから逃げ出したってやっぱりつまらない物が待ってるだけ。
そんな面倒なこと僕はまっぴらだから、ここがつまらなくなくなるよう妄想を膨らます。
妄想。憂ざい。妄想。憂ざい。 憂ざい。憂ざい。憂ざい。
人間が生きてゆくにはここの重力は重過ぎると思うんだ。
背負えば背負う程死にそうになる。猫背が酷い。苦しい。
大きく息を吸って、吐いて。
そうやって僕は僕を切り換える。
包帯で覆われた少年が何故色白だとわかったのか、それはとても簡単なことだ。
光を反射する程の色白が僕だからだ。
酸素がなければ、みんな死ぬのに。
酸素があるから、みんな怖い思いをしなければならない。
ねぇ。人生って楽しいね。
僕の右手にはナイフが握られている。
そいつを少年に突き刺そうとして、辞めた。682回目。
そんな権利も資格もないんだ。