09/03/16 00:34:12 ylGmzS/D
「満月が踊った日」
飛び出した君の眼球は僕の
足元目指して落下した
その勢いは凄まじく
僕は
世界の終わりをはっきりと理解した
その日 アンは精一杯にめかしこんで
お気に入りのレコードを
次から次へと 聴き倒していた
僕はそんな彼女に 備え付けの火星へ
今
逃げることをはっきりと決定した
「ぴちゃっ」と 小さな
本当に小さな音がしている
彼女のアトリエの外から
ビルディングが 人が 心臓が
壊れていく派手な音がしていたんだ
「今夜はきっと満月よ」
「どうして?ひょっとして月だってもう崩れたかもしれないじゃないか」
「きっと満月よ、だって…」
もしも 僕が君なら
受精すら拒んだだろうね
もしも 君が僕なら
きっと今ごろ土星の真ん中に
小さなスタジオを造ってる事だろう
「ほら、月が昇ったわ。見て」
「どこにも無いじゃないか」
「よく見て!地球の手を握って静かなダンスをしているわ。なんて綺麗…」
飛び出した君の眼球は僕の
足元目指して落下した…