09/03/13 16:15:15 AoVVCvcO
「ふさぎこんだ春」
山中のバイパスを行くと地味な看板があった
市営の植物園と書かれてあり、君はそれを知っていた
いつの間にか君は車を降りて歩き始めていた
子供のころに一度来たことがあった
閉まった売店と古い自販機があった
キンモクセイの臭いがすごかった
静かで君しかいなかった
ガーゴイル型の街路樹
優雅にテクテク歩くキミ
おなかを空かせて待ってる
グレムリン似の
なぞのいきもの
テクテク歩けば鼻息荒ぶり
坂道でヒザが皿回し
おぼえているかなおぼえていないか
あの場所でキミの尻見てた
何も無い場所で夢見てた
空っぽキレイな箱庭で
使い道の無いマトリョーシカ
汗ばむほど歩くと視界が開け展望台についた
君は田んぼばかりの町を見下ろした
ヘルメットを被った自転車の子供たちだけ動いて見えた
ぼんやりと熱い頭をそよ風が撫でた
君はそこのベンチで横になって
そのまま眠ってしまう