09/03/04 22:43:03 myI+ugT4
「都会の夕日にさけぶ!」
車のばたばた走るのや
汚れたすきま風やそれにのる鳥のなき声
(いまの風には二度とあわない…)
人の幾重にもなった声や足の音
そのほか雑多の
(ぼくだってもう一員だ)
ゆるくはげしくぶつかる音で、
都会の情緒は構成され
潰されそうにおもう程度の
高層ビルの圧迫や
その窓がうつす、空のくもった青、
緑や赤の
げびた蛍光の看板に
カラスがとまっているのや
そのカラスの眼が
かなしく光って、
きっとなにかを考えていることたち、に
音の空気が加わり
そのひとつひとつが結託して、
都会の感傷は構成され
…
夕日というのはいいものですが
都会のそれもはずれではなく
昼の都会の感傷は
どかっと赤に、膨張し
正確なビルディングも一斉に
残照の赤をうつし出しています
ずうっとむこうの隅まで赤です
(東の方は、あきらめの青だ)
(夕日を眺めむずかしい顔をして、)
(都会に生きる人々よ
あなた方はすれあって
心の欠落や
郷愁や
かなしみ
こもごも隠して
凛と前をむいて
アスファルトの道を
つかれた体で
夕日のなか、重いおもいを背負ってあるき
みえない未来にただ向っていってくれ!)
都会を纏うほの暗い赤は言語に絶する
しかしこんなにきれいでも
もしかして
もしかしたら、
あのビルの一室では
詐欺が大手をふって実行され
その屋上には
一日に三百人自殺するうちのひとりが
決心かため、鉄柵に手をかけているかもしれない。
こうしていたずらに妄想をする、一番重い未来のうえを、
蛍光灯がかなしく光る…。