08/12/28 16:54:31 Xbp7ceII
「釘打ちの前を通り過ぎて五日目のこと」
相変わらず彼は
壁の前で釘を打っている
等間隔に打つでもなく
模様をえがくのでもなく
ただひたすら釘を打っている
私は五日目にして
彼の前に立ち止まり
彼が打ったひときわ高い場所の釘に
上着を引っかけた
それから仕事へと向かう
実質二時間で終わる仕事を
今日も十時間かけてこなす
家へと帰る途中
壁の前に釘打ちはいなかった
私の上着が掛かっていた場所には
誰かが取り替えたのか
いつかの愛が引っかけてあった
私はそれを持ち帰り
電子レンジで温めた
チン