08/12/26 16:31:40 eDM8vit0
「詩人」
あのころ同級生にいたイタい少女は、空気が読めなくて
詩でしか言っちゃいけないような言葉をバンバン吐いて
特に女子には嫌われっぱなしだった。
けど彼女の髪型はクラスの中で一番僕の好みだった。
ある学期、僕の席から時間割表や窓のほうを向くと、
彼女はいつも視界にはいった。
窓際の席で本を読むか机に突っ伏しているか。
僕とはほとんど言葉を交わすことも無かったし
時々、彼女が誰かと言い争う高圧的な言葉は耳障りだったけど
彼女は席が変わってからもずっとその髪型だった。
ラララ
彼女が読んでた詩集の中身や
彼女がいつも何を考えていたのか
興味が無いし今じゃ知る由も無いけれど
イタい少女が誰とも仲良くしないままでいてくれたことが
好みの髪形でいてくれたことが
今の僕に夢を見させているみたい。
ラララ ラララ
暖かな春の陽射しの窓辺、窓を開く手、踊る黒髪
机に貼りつくホホを剥がして、震わせ、少女は影を見上げる
髪を整え、笑顔になって、ありきたりすぎる青春の
淡い風景の一部になる。