君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.77] at POEM
君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.77] - 暇つぶし2ch6:名前はいらない
08/11/26 19:45:49 UrKdDxXC
水色の傘


時計搭を正面に駅口 6段昇った左端 左の手すり
これまた左足に 体重をかけて待つ
押し寄せる人の群れは頭を傘で覆われて
金色のイチョウ 灰色の空と見事な調和

五分、まだ彼女は来ず

他愛のない想像に走る 絨毯模様のかき分け方
モーセのように割って 大人ぶって流れに乗って
ワインレッドはモーセにはならない
パステルイエローはシミにしかならない
けどあの、水色の傘ならどちらもお似合い

十分、それでも彼女は来ず

6段の高さをカサにきて天使を気取る
色づく傘々を見下ろすことで 首の後ろから愉悦に浸る
思考はそれだけ不透明に
感情はそれこそ 波一つない凪のように……

十五分、ああ 彼女は来ず

ささやかな見栄は通信を拒否
意を決して下界に降りた
首の後ろから神様の仕打ち
雨は容赦なくぼくを溶かす 白い吐息と垂れる滴

先を行くには傘が邪魔 邪魔邪魔邪魔!
化けの皮は一度剥がれれば惨めなもので
ふらつきながら門に着く
晒され疲れて頭を垂れた


ふと差し出された水色の傘
眉を寄せるその持ち主

大丈夫? 随分遅かったけど


ぼくは天使を気取っていた
それは酷く滑稽で でもそのものよりは
少なくともマシだった


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