08/11/29 00:40:25 /sahjjn0
「涙」
日曜日。太陽。裸足の子供達。
街の音が僕の声を掻き消すよ。
空を行く鳥達の悲しそうな瞳を
あなたが覗いたちょうどその時
あなたの左手に握られている
小さな紙コップに目一杯入った
オレンジジュースが零れ落ちる。
僕はただそれをそっと眺めた。
夏風が吹いて、目が遮られ、
あなたはどこかへ消えてしまった。
白い頬に触れた僕の右手は
太陽に射抜かれ、剥製になった。
日曜日の朝、海岸線が見える駅。
裸足の子供達が歌を歌う路地。
僕達が出会った海沿いの街。
僕はもうどこかへ消えたかった。
指先が寂しそうに震えていた
あなたの姿はきっと僕の内側
痛々しい程の光の中へ溶ける。
大切なことはきっと青い海とか
森とか 風とか、みんな同じ。
通り過ぎた電車の向こう、夢の後
流れ星のような一筋のラインが
終わりと始まりを一緒に告げた。