08/12/07 01:04:14 4ECkWJqu
「男」
その男の名を誰も知らない
ただそこに君臨し皆のことを支配しようと
本気で思っていたようだ
何の興味も示さない通りすぎゆく人たちに
ただひたすらに辛辣な言葉を投げつける
悲しいことにそれが男のいきがいだった
虚しさと同じだけ苛立ちは募り
寂しさもあったが泣くなどもってのほか
独裁者は狂ったように
今日も誰かを裁こうと立ちはだかる
誰を責めても心は空っぽ
誰をののしっても認めてくれる人もいやしない
こんなに価値のある人間は滅多にいない
こんなに情けない人間も滅多にいない
詰め込んだ知識は血肉にはならず
吐き出した毒は己の身に降りかかる
いつまで続くか世界中にありふれたこの種の悲劇
男の心に降る雨は傘をさせば喜劇に変わる
何も知らない哀れさよ
さも感心したようにもったいぶって
何度も肯く偽善者たちと
怒り模様の仮面をつけて紳士ぶって踊るがいい