08/12/02 01:00:11 0PG8rTYZ
あなたのピアノが好きだった
俺は続かなかったから
たららら、となめらかに動く指がうらやましかった
あなたの運転が好きだった
駐車はいつも一発だ
俺は何度もみっともなくやりなおす
軽やかにハンドルを回す腕がうらやましかった
あなたの笑顔が好きだった
俺はどうしたってひきつってしまうから
どうしたって
うらやましかった!
姉ちゃん母さん父さん!
どうしたらいい?
ああどうしたって入れない!
明るい居間は幸福な空気でほかほかしてて
入ればあったまることが出来るはずなのに、なんだか入りづらいんだ
ドアノブを握る手がぶるぶる震えて、うしろから「やめとけ、どうせうまくいかないさ」って声がする
でももう嫌なんだ
独り部屋で自分にイヤフォンで蓋をするのは、もううんざりで
力を込めた
ドアノブは錆付いて歪な音を立て開いた