08/12/01 18:40:47 LMpY4jM/
少年の友人は言った。
『この世界はどんなことも運命で決まっていると想う。
僕がこれからどう生き、何を遺すか、それは総て変えようのないものだと想うんだ』
少年は想った。
その考えは嫌だ。
何をどうやっても、どう足掻いても、どうせ死は決まっているということだ。
何回サイコロを投げても、ずっと同じ目が出るような考えだ。
その目は死だ。
少年は言った。
『君の考えは哀しいね』
別のある友人は言った。
『この世界には運というものが存在すると想う。
どれだけ死にそうな状況でも、奇跡は起こると想うんだ』
少年は想った。
その考えは嫌だ。
なんでも運で決まるのなら、ふとしたきっかけでいつ人間が死ぬかも判らないんだ。
サイコロを投げて、それで死んでしまうのかも知れないんだ。
少年は言った。
『その考えは哀しいね』
ふたりの友人は少年に尋ねた。
『なら君はどう考えているんだ』
少年は少し考え、こう言った。
『僕は…死にたくない。ずっと生きていたい』
友人ふたりはこう言った。
『キミの考えは哀しいね』