鈊鈊鈊 さとうしおの小説 釥釥釥   at POEM
   鈊鈊鈊 さとうしおの小説 釥釥釥    - 暇つぶし2ch517:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/28 08:31:50 9ef/tDIu

>>515
まあ、一過性のもんだからね。
作風はころころ変わると思うよ。
また元に戻るかもしれないし。
面接、いってきます。


>>516
ロックが多いね。
素人のおれが思うに、ロックの攻撃性には二種類あると思うんだ。
ハンマーでぶっ壊すタイプと、
ナイフで切り裂くタイプだ。

おれはナイフの音楽が好きだね。
美しくないからね、ハンマーでぶっ壊すのは。



518:ローカルルール変更議論中@自治スレ
08/08/28 15:33:36 ZtbibouD
ハンマーとナイフ

具体例を挙げるなら?

519:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/28 17:26:52 9ef/tDIu

面接、終わった……。
好感触だが、しかしどんなことをやらされるのか謎。
後日、テルテルかかってくる。
最悪、今のバイト続行さ。


音楽?
わりい、実は、
おれあんまよく知らねーんだ。
偶然、買ったサーファーズオブロマンチカの、
“ON”ってアルバムが、
いままで買ったやつで、一番、風変わりで、
おもしろかったやつかな。
オルタナティブっつーの?

もう解散しちゃったけど、
ヘイトハニーってゆうバンドは、
一時期かなりハマってた。
でも解散しちゃってあんま聴かなくなった。

たくさん買ってるんだけど、
いまいち当たりが少ないね。



520:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/28 19:14:25 9ef/tDIu

 占い

おれは、おれの描いた4コマ漫画がまた落選したのを知った。
(もう何回目になるんだろう……?)
でも、落選がもはや、おれの中で日常と化してしまっていて、結果を早朝コンビニの立ち読みで知っても、もちろん落ち込みはするんだけど
(ああパン喰いてぇ……)
などと頭の片隅では思っている始末。
白いコンビニ袋を手首からぶら下げ、朝、登校中の学生を横目で見ながら
(おれは、連中の目にはどう映っているのだろうか?)
などと考えたりする。
敗北者? 人生の。
いや、実際には映っていないんだろう……。
おれは少し自意識過剰すぎる。
帰宅する途中、一度、東京の有名な占い師のもとへ行って、そのとき描いていた4コマ漫画が受賞するかどうかを占ってもらったことがあったのを思い出していた。
質問を受けたその占い師は、なぜか不思議そうな顔をしていた。
「原稿はありますか?」
と言うので
「コピー原稿ならあるよ」
と、おれの当時の最高傑作を手渡した。
占い師は、しばらく無言でそれを眺めていた。
くすりともしなかった。
職業柄、品性を保つためげらげら笑うことも出来ず、込み上げてくる笑いの衝動を必死で押さえているのかもしれなかった。
占い師は
「多分、落ちるでしょう」
と言った。
おれは、じゃあどうすれば良いか、と尋ねた。
占い師はこう答えた。
「最近は、漫画の専門学校などもあるそうです。まずはそこへ行って基礎から学び直してみたらいかがでしょうか?」
と。
4万円を払って部屋を出た。
そしてやっぱり、その時書いていたおれの漫画は落ちていたのだった。
(すごい……)
そう思った。
あの占い師の言うことは当たっていたのだ。



521:名前はいらない
08/08/29 09:14:22 q/cCjyHH
〔大吉〕 あげる

522:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/29 19:22:55 /qp7X+1L

 もぐら

もぐらが好きで
来世はもぐらになりたい
そんな風に思っている学生も
たくさんいると思います
進路希望表に“もぐら”
ぼくはもぐらになりたいな
なんて韻も踏んでいて良いかもしれません
みなさんは知っていますか?
もぐらはとっても友好的な生き物なのですよ
「生ハムでもいかが?」
なんて地面から話しかけてきたら
それは間違いなくもぐらです
甘い言葉に誘われて
ついのこのことついていってみましょう
もぐらは地下帝国でダンスパーティーを開催しているはずです
BGMはちびまる子ちゃんの昔のテーマ曲です
「ピ~ヒャラ ピ~ヒャラ♪」
だからもぐらは地球人でエジソンが一番、偉いと思っています
実際はそんなに偉くないということを教えてあげてもいいかもしれません
もぐらは思いっきりハメを外します
普段の鬱憤を晴らすのです
もぐらの右手にワイン
左手にはビア
完全にアル中です
「もう、よしなよ」
きみはたまらず話しかけました
「うんよす」
理解あるもぐらでよかった
でもこんなもぐらは珍しいのです
たいていは
「うるせえ!」
などと言ってスパナでぶん殴ってきます
頭から血を流したきみはうろうろと地下帝国の出口を捜して歩き続けなくてよかった
もぐらにはもぐらの苦悩があるのです
そっとしておいてあげるのが優しさの場合もあるでしょう

ところでぼくはもぐらを実際に見たことがありません
あなたはどうですか?
「うまいんですかねぇ……もぐら」



523:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/30 08:40:07 +Y8KU9CD

モーニングの到来。
ブルーベリージャムを塗ったパンは甘すぎた。
紅茶でほっと一息。
テアニンってゆう物質が含まれてるんだよ。
それからマイブラのラブレスを聴いた。



524:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/30 17:35:42 +Y8KU9CD

 変わる

小さい頃、必死になって集めた宝物の数々が、押し入れの中でいつの間にかがらくたへと変わってしまっていた。
おれは大掃除でひさしぶりにそれらを手にして、そのあまりのくだらなさに愕然とした。
「なんだよ、こりゃあ……」
と、一人しかいない部屋の中で口に出してしまったほどだ。
おれは、並大抵のことなら、頭の中でそう思うだけだ。
だが口に出してしまった。
そのくらい驚いたということだ。
おれは、見ないほうが良かった、と思った。
あのままずっと思い出として輝かせていたほうが……。
だって、どんな角度から見ても目の前のそいつが記憶の中の映像と一致しないのだ。
ゴミ。
その言葉が頭をよぎった。
「ゴミ」
口に出してみた。
ますます、そう思えてきた。
「これは、ゴミだ」
もはや決定的だった。

けれど、物質が勝手に変化するわけがないから、変わったのはおそらくおれの方なんだろう。
朝、起きて。
夜、寝て。
朝、起きて。
夜、寝て。
おれは知らないうちに随分、変わってしまったおれのようなんだ。

「ぞっとするぜ!」



525:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/08/31 17:50:03 faT+NWAJ

 カウボーイ・イン・バー

飽きたよ
おれは、飽きたんだ
お前はどうか知らないが、お前のことはよく知らないが
おれは、もう、飽きたんだ
けど
いま歩いてきたこの道を
また引き返すのはごめんだ
それなら頭を撃ち抜いて死んだほうがましさ
「ねえ、ミルクちょーだい」
唐突におれはおねだり
「ミルクちょーだいよ」
おれを狙う賞金稼ぎどもが、おろおろしだした
いっつもバドワイザーばかり飲んでると思ったら大間違いだ
だが、今度はおれがおろおろする番だった
カウンター越しに、老婆が胸をはだけて乳を露出したのだ
たるみきった乳房だ、しわしわしてる
「すいな」
老婆は言った
おれは最初、何を言ってるのかよくわからなかった
スイナ? そんな地名があったっけ?
脳が無意識の内に理解を拒否したのだ
だがすぐにこの乳房を吸え、という意味だとわかった
「ちょ……ちょっと待ってくださいよ、そんなの吸えるわけないじゃないですか!!」
おれの風格が吹っ飛んだ
身振り手振りも交えて、いやんいやんを繰り返した
老婆は言った
「すえよ」
命令である
おれは吸った
吸わないと思ったのか?
はっ
おれをそこらのカウボーイと一緒にするなよ
おれは完全におれを取り戻していた
「おお、うめえ」
おれはチュバチュバと老婆の乳に吸いついた
賞金稼ぎどもはもはや完全に戦意を失っている、横目で確認したら顔面蒼白であった
(やはり……、やつらびびってやがる)
おれは乳首から口を離して言った
「おねーさん!! ミルクでないっすかねぇ?」
カウンターの老婆は怯えた
理解不能の生き物が目の前にやってきたからだ
そしておれはこのバーを出入り禁止になった
だからなんだ
バーなんて街に腐るほどある
こんなことでもしてなきゃ、人生なんてつまらなくてやってられないぜ
周りの目を気にして自分らしく振る舞えないなんてつまらないことだと思わないかい?



526:名前はいらない
08/08/31 23:52:40 uXdL8Bjn
 ったく言いたい放題 爆笑 
アレはお題が降りてきてスルスル出来ちゃったもの 深読み禁止
でも さとうしおスタイルでしょ サンキューって意味だったんだけど
あんなふうな対話スタイルは書いてて快感 ABだからかな

527:名前はいらない
08/09/01 13:35:18 2+fTTP65
この板の無コテ名がいやなので しばらくこの板離れます
いつかまた会おうね

528:ローカルルール変更議論中@自治スレ
08/09/01 14:18:25 frER5LE8
入口に入ってくれたらありがたいとです。。。
URLリンク(1.rank-nation.jp)
元掲示板
URLリンク(z.z-z.jp)



529:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/01 19:12:37 1I76PPKT

 会社

毎朝、おれは、電車の吊り革にもたれかかるようにつかまり、車掌のいじわるによって右へ左へと揺らされながら、会社という場所まで行かなくてはならなかった。
そこでもまたいじわるされるのだ。
なんで、子供がいじめで自殺すると、みんなあんなに大騒ぎするのに、大人がいじめで自殺しても誰も何にも言わないんだろう?
本当に不思議だった。
………。
そんなことを考えている間にもう会社へと着いてしまった。早過ぎる。
おれは人とのコミュニケーションが苦手な方だから、会社という場所ではほとんど役立たずといってよい。
この間テレビのニュースで聞いた話しによると、企業がいま、人材に最も求めている能力がコミュニケーション能力らしい。
初対面の人とすぐ打ち解けられる能力。終わってるおれ。

日曜は、もう外へ出かける気力なんて無い。
大体、休日はどこもいっぱいで、全然、休んだ気になんかなれない。
家で寝てるに限る。
そして、夕方へさしかかると憂鬱になるのだった。
サザエさんのエンディングテーマが鳴り出すと、死にたくなってくる。
また月曜日がやってくるのだ。
いつかはくると思ってたけど、まさかこんなに早くくるとは……。

「………」
おれは空っぽの頭で、再び車窓からの風景を眺めているおれだった。
いつものように、会社という場所まで行かなくてはならなかった。
おれはもう長い間、ずっとこうして電車に揺られているが、そこから見える町並みに何があるのか、どんな人が住んでいるのか、さっぱりわからなかった。
多分、これからもわからないままなんだろう……。

何もわからないまま死ぬのだ。



530:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/02 19:08:30 B6KlEqLm

 おれは

おれはおれの中で安全装置が外されるのを確認した
おれは何物にも束縛されない存在となれた
おれは神様のほっぺにハイチュウをくっつけて逃げる天使
おれはマーガリンを何度もきみの秘密の部位に塗る
おれはO型だ
おれは魂の絶叫を繰り返す生獣(なまけもの)
おれは生涯、誰にも愛されなかった人間の隣りに住んでいる
おれはスムージーを一度も食べたことがない
おれは時々、わたしになり
おれはまれに、あたいになる
おれは夏があまり好きじゃない
おれは日本刀をモッツァレラチーズに突き刺す
おれはシルバーシートに火炎瓶を投げ付ける
おれはある日ニンジンの栽培に精を出す
おれは“おれは”に続くちょっとおしゃれで楽しい言葉をいま思案中
おれはいまガムを噛んでいる
おれは詩の中でよく嘘をつく
おれは、きみが確認できないのをいいことに言いたい放題のおれである
おれは“おれは”で始まる文章にいい加減飽きてきたおれである

おれはここで一行、空けてみる


おれは次は二行空けてみる
おれはそろそろこの詩を終わらす方法を考え始める

おれは、この詩がきみの目に触れてるいま、この詩には始まりがあって、そして終わりがあるだろう
おれは思う、しかしいま現在、きみがこれを読んでるいまより少し前、つまりおれにとっての“いま”だ、この詩は始まってはいるが、まだ終わってはいない
おれはそれを不思議をおもう
きみにとってはもう終わってることなのに、おれにとってはまだ終わってはいないんだ


おれはこれが最後の“おれは”で始まる文章だと思う
おれはこの詩を誰にも見せずに消してしまうことが出来る



531:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/02 22:57:05 B6KlEqLm

こないだの土曜日、初めて献血やった。
うちの近くのイトーヨーカドーに専用車がくるんだ。
善意っつーより、興味に近い。
なんか“多少、お時間かかります”とか、
“若干、痛みます”とか、
針、刺した後に言うんだな(笑)
先に言うと帰っちゃう人がいるんだって。
で、おれ、
なんか血の循環が悪いですね、とか言われて、
抜かれてる方の手でホカロン持たされて、
それをグッパグッパしてください、とか言われて、
結局、20分くらいかかった。
ちょっとなー、
次はないわーって思ったな。
おれより後に来た人が、先に出てくんだもん。
でもジュースとかたくさん貰った。



532:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/03 07:01:20 oH+F9lLP

おはようございます。
過疎ってますね。
いつものことです、まあよいです。
のんびりやらせていただきます。
やる、といったって、女の股間に自分の棒を突っ込むわけではありません。
やる。
という言葉には、実にたくさんの意味合いが含まれているのです。
「今日やるかぁ~」
なんて言ったって、
何をやるのか、他の人にはさっぱりわかりません。
スイミング教室に行って、バシャバシャ泳ぐのかもしれません。
本人にとっては、実に都合のいい言葉ですね。
つーわけで、
おれも、きょう、やる。
何を?
何を?
二回、言っちゃったよ。
何をって詩作に決まってんだろ。
あとバイトだよ。



533:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/03 07:03:25 oH+F9lLP

かったりいけど、のそのそチャリンコで出勤。



534:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/03 19:15:28 oH+F9lLP

 教室

教室で、時計の針を眺めていた。
進んでるのか?
そんな気配は感じない。
クラスのみんな、窓の外か、時計か、そのどちらかを見ていた。
教師は何かをしゃべってた。
口が上下に動いてるしね。
みんな思ってる。
(……そんなことして、なんの役に立つんですか?)
って。
でも、授業中そのことを、はっきりと先生に尋ねたやつはいない。
ぼくたちはあきらめてるのさ。
だから、仕方なく時計の針を眺めている。
早く、回れ。
針はさっきと比べて、まだちょっとしか動いていなかった。
隣りのやつの貧乏ゆすりで、また元の場所まで戻っちまいそうだった。
チャイムよ、鳴れ。
時間を早く進めるためには一体どうしたらいいのだろう……?
そんなこと、十代の人間が考えることじゃないよな。
なんか間違ってるよ。



535:ローカルルール変更議論中@自治スレ
08/09/03 20:21:06 +a2EAy/3
そのくらいで無いと意味が無い。

536:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/04 19:20:31 XINfjyP7

 深い闇

闇の中からお前が呼んでる
優しい声で「こっちへこいよ」と
いまいく
それだけ言ってぼくはためらう
もう二度と
こっち側へ戻って来れないんじゃないかって
「……」
闇の中からの声は、一時、途絶えた
「もう いないの?」
何の反応もない
ぼくは少し安心した
その時
「なあ、いつまで待たせるんだよ、まさかお前、そのままいなくなるつもりだったんじゃないだろうな?」
ぼくは言った
「まさか」
その通りだった
お前は「早く来いよ」とせき立てる
ぼくは言った 「何か持っていこうか?」
お前は言った 「くだらない思案をするな、何も要らない、早く来い」
ぼくは食い下がった 「そう言わないで、近所にできたケーキ屋さんのケーキを持っていくよ」
お前は言った 「お前がそうしたいならそうすればいいさ」
ぼくはこれ以上、時間をかせげないことを知った
あのさぁ……
何を言おう
「……そっちの 天気はどう?」
「闇だよ」
会話は終わった



537:さとうしお ◆2DyyeqyAyo
08/09/05 13:08:01 eXlKwlB8

『ぼくの光りの側での人生も』


この一行をラストに加えて置こうかな。
ぱっといま読んで思ったので。




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