08/09/23 17:37:13 Ct4w0+25
中学の頃の同級生が電話をかけてきた
二年ぶりだ
「暇なら走りに行かない?」
pm11:30
寂れた商店の前で友人Aを待つ
空気が湿り気を帯びている
今夜は三日月だ
しばらくして
轟音と共にAがやってくる
極限まで改造された軽自動車に乗って
「リッター25キロだよ」
ああ、エコだね
俺は気の抜けた返事をして助手席に乗り込む
後部座席が無い
軽量化のために外したのだそうだ
「新しい峠、見つけたんだ」
Aのマシンガントークが始まる
といっても車の事しか話さない
俺は俺で適当に相槌を打つだけだ
am0:30
ここはどこだろう
陸の孤島には違いない
こういう場所には無駄な公共工事の跡があって
その真新しいアスファルトは
週末になると走り屋の遊び場として利用される
道の端に選挙ポスターがある
ポスターの中のおっさんと目が合う
こんなところで微笑んでいたって
見るのは山猿か
せいぜい走り屋だけだというのに
am1:00
世界がひっくり返って悲鳴を上げている
焼けたゴムの匂い
「深入り焙煎!」
興奮したAが訳の分からない事を叫ぶ
腐れ脳みそに火花が散って
三日月がニヤリと笑う