09/02/09 01:45:15 I6uesQSk
白いキャンパスに何を描いてもよいという提案が
実は一番難しかったりもする
ぐちゃぐちゃに描きこまれたデッサンの中から
何を消してもよいという提案の方がどれほど安易で気楽か
この荒れ狂う海の向こうに何があるのか
残念ながら私達では知ることができない
しかしながらこの荒れ狂う海の向こうには
何かが確かに存在する
それは喜びに満ちた世界か
それとも悲しみに暮れる世界か
決して神のみぞ知るなどという
重そうで軽い一言で集約してはならない
神ならば知る必要もない
神はただ事実を傍観するだけである
昔ディアスという爺さんが
アフリカの南端の岬を発見して
これを嵐の岬と名付けたという
時の王はその不吉な命名を忌み嫌い
喜望峰と置き換えた
インド航路を発見したのはヴァスコ=ダ=ガマではない
喜望峰という抽象によって彼を勇気づけた
ジョアン2世その人である
この荒れ狂う海の向こうに何があるのか
もちろん私達には知る事ができないが
確かに存在する何かを作る人もいる
それが誰なのかを辿って行ったら
何のことはない私達自身であった
白いキャンパスに何を描いてもよいのなら
電話の最中にウロウロとペンを走らせるような
四角形のウジャウジャばかり描く脳みそや腕や指先を一喝し
私達細胞レベルから力を伝達していって
大きく「喜望」の二文字を描いてみせよう
海の向こうに何かが見える
方向が間違っていなければ
喜望峰を越えてきたならば
あれは私達が作った明るい未来だ