09/01/23 00:34:36 6pysma0k
テトラポットが低く唸り深まる闇を威嚇したが
コールタールのような海はのったりと寝そべったままで
薄くスライスした金色のレモンが波に砕かれて
はじけて光の芥となってもまたすぐ形を整えて
命の消えた都市の静寂を
造られたものどもは悲しみもせず
与えられた意味など知るよしもなく
ただ佇む 石ころになって
色んな記憶が溢れていた
ちゃちなケースに大切に保管してた
色んな響きをそれにあてがった
怪奇なほど複雑に連なった響きを手掛かりに
笑ったり泣いたり 夢見たり絶望したり
かってたくさんの生き物が犇めいていた
各々の信じる通りに蠢き続けた
やがてある日
ちゃちなケースに収まり切らなかった
感情が広い世界をぶち壊した
蓋を開けたように光が溢れ出し
こびりついた闇を丁寧に剥がしていく
惑星に放たれ続ける恩恵に
無機質な歓びだけがいつまでも煌いている
またいつか
意味が生まれるだろう
新しい秩序も育つだろう
誰が待つわけでもない またいつかに
また何かが
同じように笑ったり泣いたりするのだろう
夢見たり絶望したりするのだろう
波に砕かれる金色のレモンのように
はじけて光の芥になってもまたすぐ形を整えて
次の波がくるまで