08/10/17 09:23:58 Js4034ZU
六花は冬に生まれた。
濃いグレーの背中に白い斑点が6つ散らばって
りっか と呼ぶ。
六花はすっきり背を伸ばして、両足を揃えて座った。爪を出すような不様は見せなかった。
新しい水が好きで、洗面台の端っこにあがって、洗面桶の水を替えてくれるのを待っていた。
六花の母猫がそうした作法を教えていった。
六花は仏間の縁側が好きだった。日当たりが良く、専用のさぶとんと祖母がいた。
祖母の茶箪笥にはいつもお茶うけのにぼしが入っていて、祖母と六花は一緒におやつをしていた。
祖母が老いていき、
六花も老いていき、
しまいには祖母の方が先に 老い病んで
仏間にのべられた布団の横で
六花が凛と座っていた。