08/07/13 10:15:03 1q5s9A+C
それは違うと娘が言った
母親そっくりの横顔で、それは違うよ、と言った
今の君にとっては
あまりに一日目が多いので
長い長い廊下の先に伸びる影に気がつかないし
まだ靴も新しくて
土足で中庭に飛び出したりしていないから
君にとっては違う
呼び合う声が
金色の原っぱを通り抜けて
兎の通る近道を帰るのだから
君にとっては違う
桟橋まではまだ遠いので
僕は潮風のことを忘れていた
ほら
沈んでいくよ
一日目のおっきなお日さまが沈んでいくよ
娘は瞼を伏せたまま
うん
と頷いた