08/04/08 12:18:08 GUh7pp2d
悲哀の染みこんだ重苦しい風が川辺のススキを劇的に揺らし、
わめき散らすはおそらく退廃の直訴状、
赤くただれた空は永遠の夕刻、
まさに死の時が眼前に立ちはだかるようだった。
私という人間に含まれる可能性において、
残された物語は一つしかないように思われた。
死である。
むろん肉体の死ではない。
薄々気づいていた真理を直視したゆえの精神の硬直である。
無限に枝分かれする大樹の芽を、
私たちは精神の中枢に植えつけた。
しかしその大樹の枝が伸びる先は大空ではなく、
欲望に養分を吸い尽くされ枯れ果てた地中にほかならない。
そして取り繕う気力も失せた人類は、
まずは隣人を疑い 大地につばを吐き 宙をにらみ、
ついに疑うべきものもなくなって開き直りの一手。
私たちは救いを外部にではなく自らの内に見出した。
神である。