08/02/27 23:07:08 EwzCITcw
凍みついた窓から聞こえるしずかな雪の寝息を背に四時の鐘、
昨夜空けた日本酒の一升瓶が部屋中をつんと満たしてゆく
おれは車で四十分かかるところに最近できたユニクロの開店セールで
おふくろが買ってきた上下合わせて五百円の寝巻きの上に
学校指定のまっきっきならぬおっおっおのオレンジのジャージを重ね着し
数ある中じいさんから選んでもらった自慢の丈の短い長クツを履き
おやじと一緒に軽トラックに乗り込んだ
元旦にはいつもぎょんでさまに会いにゆく
除雪されてない山道をえっさこらえっさこらと
十一月の中旬から虎視眈々とおれの股間を狙い澄ましていたかのように
計算しつくされた積雪に常に股間を刺激されながらばかみたいに雪中を漕いでゆく
なんでだろう
いままでなにひとつ願いを叶えてもらった覚えはないし
「神さま!仏さま!」なんていう類の神頼みは
猛烈に腹を下してインドカリーみたいな下痢が治まってくれるまでの
一時の気休めに過ぎなかったし
おれは誰かが下痢の話しをしたからって
食おうとしていたインドカリーを食えなくなったなんていうそんなやわな男ではないし
どうせそんなもんだろと
はるか後方でおれの深さ三十センチの足跡をひたすらなぞる
息の切れたおやじの頭を垂れる姿と同時にまた薄くなっていた頭髪が風になびいて
やっぱり今年で最後だなと
おれは供え物のみかんの最後のひと口をたいらげた