09/06/02 05:10:20
3月のことです。
急斜面にヒノキの植林が広がり、狭い登山道は斜面を横切りながら下ってゆく。
道の雪は登山靴で砕かれ、柔らかくなっているが、
斜面の残雪は氷のように固まっていた。
角度は45度以上はあるだろうか。上から見るとほとんど垂直に近く見えるのが不思議だ。
前を行くパーティーの最後尾の中高年男性が、
杖を1本、山側の手で持って降りている。
その時、男性が足を滑らせた。
すると杖で支えようとしたのが災いし、上半身が杖を支点に谷側へ回転した。
柔道の技にかけられたかのようにバランスを崩し、背中から飛び込む格好で
木の幹に何度も激しく当たりながら、見えなくなるまで落ちていった。
まるでパチンコの玉が、釘に当たって跳ね返りながら落ちていくようだった。
男性がスリップした現場まで降りると、70センチほどのスリップ痕が刻まれていた。
これが人生のピリオドかと思い、しばらく動けなくなった。
僕は、山側に持っていたポールを、谷側の手に持ち替えた。
これなら同様に足を滑らせても、体は山側に回転し滑落は免れるからだ。
ちなみに家へ帰ってから、その男性が死亡したことをニュースで知りました。
即死だったそうです。
ちなみに僕は>>363と同様に、登りは2本、下りは1本派です。
変節と言う人がいますが、ずっとこのスタイルは変わっていません。
やっぱTPOですね。