10/06/14 14:42:42 e6zRJu89
「し…しようか?」
僕がボソッと呟くと、彼女はすかさずこちらを振り返った。
「な、何云ってんのよ…馬鹿じゃないの!」彼女の目には明らかに軽蔑の色があった。
「え、いや、その…」ショッピングセンターの中の小さな花屋は外の蒸し暑さが嘘のように
涼しかったが、僕は背中に冷たい汗を感じた。せっかくの彼女との初デートなのにまずいこと言ったかな…。
少し離れたところで薔薇を見ていた僕の母親くらいのおばさんも、僕らの会話が聞こえてたらしく、
チラリ横目で見ている。
「もう、恥ずかしい。わたしたち中学生よ」彼女は足早に店から出て行った。僕も慌てて後を追った。
その時、僕は自分が読めなかったその花の名前―赤紫や青紫の葉っぱが丸くいっぱいについた花の名前を
ようやく思い出していた。