『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.6at MYSTERY
『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.6 - 暇つぶし2ch34:名無しのオプ
10/01/12 09:22:29 Qv0XEUS1
[762]書斎魔神◆AhysOwpt/w 1/11(月)21:59 Am/sDOYq(2) AAS
栗原裕一郎「<盗作>の文学史 市場・メディア・著作権」を読んだ。
文中で筆者も類書が見当たらないと述べているとおり、
現在のところ文学における盗作に関する唯一の体系書であり、
基本テクスト足り得る力作である。
本書を読むと、基本的な法的知識や文学に関する見識も無くして、
荒らし目的のためにいたずらに「剽窃」云々を騒ぎ立てる連中に、
「甘ったれるな!!」という感をあらためて強く抱いた次第である。
欲を言えば、もう少し事例を整理するなりしてボリュームをコンパクト
たらしめても良かったかも。
ミステリ関係の盗作ネタも相当数紹介されているが、
文壇、ジャーナリズムにおけるその注目度は昔から低かったようだ。
ミスオタが地団太踏んで悔しがっても、「所詮、たかがミステリなのである」。
この点は、本書で紹介されている倉橋由美子「暗い旅」における
ミシェル・ビュートル「心変わり」の2人称スタイルパクリ疑惑事件に端的に
顕れていると言い得る。
倉橋嬢の半年程前にあのミッチーこと都筑道夫がビュートル作品に倣うと
公言(文筆上の犯行宣言?(w )の上、「やぶにらみの時計」を著している
にもかかわらず、糾弾もその後の論争における参照も無かった(66頁参照)
のである。ネット用語で言う完全スルーやね(w
本書第三章では大藪春彦、三好徹両氏絡みの盗作事件の詳細が引用や報道記事にもとづき検証されている。
本書の引用で見る限り、大藪氏の盗作問題(2件)はフランク・ケーンには
成程感があるが、ロスマクの方は自家薬籠中のものしていると言うても良いのではないか?

35:名無しのオプ
10/01/12 09:23:37 Qv0XEUS1
[763]書斎魔神◆AhysOwpt/w 1/11(月)22:00 Am/sDOYq(2) AAS
三好氏の方は黒澤映画「天国と地獄」に絡むものである。
他に本書中にミステリ作家関連では、
あの悪名高き2ちゃん、しかもわがミステリ板が発信源となった飛鳥部勝則
「誰のための綾織」の件が、第七章で頁数を割いて紹介されているが、
この件は一般どころか、ミステリ板住人でも知らなかった者も多いのでは?
更には、第8章その他の事件では、清張先生が「深層海流」で著作権侵害
で告訴された件(いずれ清張スレで紹介したい)、
有馬頼義氏が「カストリ雑誌前期」の盗作の件で示談金を取られた件等が
紹介されている。
著作権問題としてリーガル・サスペンスを読むかのような逆転の
面白さがあるのは、第六章で取り上げられているNHK大河ドラマ「春の波涛」
の件、複数の原本が存在する等で展開そのものがミステリアスな「黒い雨」の件等、いずれもミステリ関連でないのが面白い。
盗作史(?)という文学史の断面をひとつ見ても、ミステリというジャンルの存在感の無さが実感できるものあり。
本書では漫画絡みの件(第六章の「川べりの道」)も取り上げられているが、
この活字文化衰退の昨今、ミステリはこのままでは漫画よりも影が薄いもの
となってまうぞ(w

36:名無しのオプ
10/01/12 09:24:46 Qv0XEUS1
8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!

8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!

8 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/01/06(水) 21:11:23 ID:k9pkCSSo
今後は国内作品に関する論考はここに掲載するね。
各人、心して読め!!

37:名無しのオプ
10/01/16 20:57:16 GG1fMLXj
ダ・ヴィンチ特別編集の「金田一耕助The Complete」(メディアファクトリー刊)を
久々に取り出して読んだけど、そういえばこれ、袋とじページがあったんだな。
当時、あまり綺麗に切れなかったので保存用にもう一冊を…と思ってAmazonを覗いたら、
版元品切れか絶版なのか、取り扱い不可になっていた(マケプレは安いけどさ)。

38:名無しのオプ
10/01/23 20:59:18 JjJKhVYo
ここは削除対象になっています。書き込みは控えてください。

39:名無しのオプ
10/01/23 21:08:08 mmbtn7nx
ID:JjJKhVYo

38 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 2010/01/23(土) 20:59:18 ID:JjJKhVYo
ここは削除対象になっています。書き込みは控えてください。

744 名前: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日: 2010/01/23(土) 16:22:14 ID:SxkmiDuu
新刊「夜の冒険」(早川)は「夜はわが友」(創元)の姉妹編なんだな。
あとがきによれば、奇しくも本国でも同様に別な出版社から刊行された
とのこと。
読み終えたら、おなじみ収録作品全話講評をレスする予定。

745 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/23(土) 17:05:04 ID:JjJKhVYo
ミス板名物だね。
これでホックも売れて版元もホクホクだろう。

40:名無しのオプ
10/01/24 17:41:01 wNMiEuQ3
削除依頼すら出されていない以上
このスレが国内感想スレとして認められたとみていいようですね。

41:名無しのオプ
10/01/26 21:19:00 i1ZOsI/c
「聖灰の暗号」  帚木蓬生著

ミステリーとしてはもう一捻り欲しかった。
ただ、昔の手稿の所は滅茶苦茶面白い。


42:名無しのオプ
10/01/26 21:39:05 l7mTRza7
感想は書き込まないで下さい。
重複スレです。

43:名無しのオプ
10/01/26 21:58:19 ZRaLryEZ
42 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/26(火) 21:39:05 ID:l7mTRza7
感想は書き込まないで下さい。
重複スレです。

818 名前: 名無しのオプ 投稿日: 2010/01/26(火) 21:40:13 ID:l7mTRza7
書斎シンパはサイレント・マジョリティだけど、書斎アンチはラウド・マイノリティなんだよね。
だからスレを荒らすのは書斎アンチだということになる。

44:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/01/28 01:13:20 POSE1w0/
「密室殺人ゲーム2.0」歌野晶午(講談社)

自前のトリックを駆使して密室殺人を繰り返すキ○ガイどもを描いた
連作短編集の続編。
どう続けんのかいなと思っていたらなるほど。

小説としてはさして面白くないが、各トリックの質は前作以上だと思う。

しかし、彼らが身元がバレることをあまり気にしてない風なのは?

「密室の如き籠るもの」三津田信三(講談社)

刀城シリーズ初短編集。
どれも一定のレベルを保っていると思う。
ベストは表題作。まあ明らかに分量が違うし力が入っているよ。
やや盛りすぎの観はあるものの、クリスティばりのミスリードが光る。
見取図もあるし(あまり意味ないけど)。
「迷家の如き動くもの」の奇々怪々の辻褄合わせも良い。

45:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/01/28 01:16:51 POSE1w0/
「Another」綾辻行人(角川書店)

母の故郷の中学校に転校してきた病弱な少年恒一。
この中学校には何やら多くの秘密があるらしく、恒一はOGの叔母から
心構えを伝授される。
クラスメート達は優しく接してくれたが、恒一がある不思議な雰囲気の
少女に声をかけた時から事態は動き出す。
3年3組を襲う悲劇とは―?

およそ670ページの大作である。
綾辻復活と聞いて読む。
確かに、面白かった。
「堕天使拷問刑」を連想した。
ホラーを基調にしてミステリーの種を蒔いた感じ。
これを仮にミステリー部分のみで評価するなら、「長すぎ!」
となるだろう。

しかし、そうならないのは、本作が学園(敢えてホラーは入れない)もの
としても読める代物だからである。
この分厚さがちっとも気にならず、スラスラ読ませる作者の腕は確かだ
(なので、厚さに躊躇するのは杞憂である)。
そうやってストーリーに乗れるからこそ、ミステリー的なオチや
それに至る伏線が効いてくるのだ。

連休などにお薦めの一冊。

46:名無しのオプ
10/01/28 01:50:15 p7g6QY0S
「占星術殺人事件」

面白かったー

トリックはかすってたというか凄く微妙な勘違いをしてた
だから犯人はわかったんだけど、あれ、なんか違うと

47:名無しのオプ
10/01/28 17:07:33 RecWC5bE
>>45
それ、買おうか迷ってたんだが、割とグイグイ読み進められるような内容かい?

48:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/01/28 23:01:59 POSE1w0/
「臨床真理」柚月裕子(宝島社)

新米の臨床心理士美帆が担当することになった青年司は
親しかった少女の死のせいで心を閉ざしていた。
やがて、美帆の懸命なアプローチが功を奏し司は思いを語り始める。
自殺扱いされた少女が実は他殺だということ、それは自分が持つ
特殊能力で判ったということ。
司の熱意にほだされた美帆は半信半疑のまま
2人がいた施設のことを調べ始めるのだが……。

エロいと聞いて読んだ。確かにエロかった。禁断のエロスだね。
必然性もある。

プロットは極めて単純で真相の見当も容易くつく。
評価したいのは、エロも含めた作者の思い切りならぬ描き切りの良さ。
障害者の描写や記述をオブラートに包んだりせずシビアに描いている。
真実に近いかどうかは別だが、小説作法としては好感が持てた。
ヒロインのエピソードにもうるると来た。
ただ、調査方法がちょっとファンタジー。

>>47
ウイ。

49:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/01/31 16:08:14 wp11cULR
「武家屋敷の殺人」小島正樹(講談社)

なんでも屋の弁護士川路は、孤児院育ちの女性から実家を突き止めて欲しい
と頼まれる。リバーカヤック仲間の邦彦も加わり調査に乗り出すが、
それによって彼らはとある旧家を巡る奇々怪々な出来事の数々に
巻き込まれることになる……。

前作も面白かったけど、本作も良い!
島荘の後継者たる地位を確固たるものにしたのでは。

最初に出てくる謎は案外するすると解けていくもんだから、
おいおいいいのかと思いながらも、そのせいで勿体ぶらかされる
苛立ちも感じることなく作品にのめり込める。
そして謎は後から後から泉の如く湧き出てきてストーリーを牽引しくいく。
この辺の駆け引きというか塩梅というか、巧いね。その他の新本格連中とは
違う洗練が窺われる。
そしてラストに至るまでサプライズの手を緩めない徹底ぶりにも拍手。
気になるのは主人公の「~す」ぐらい。

他の連中が「ここは掘り尽した」とばかりに辺境目指して
あっちへ行ったりこっちへ行ったり躍起になって開拓しようしている中、
ど真ん中にデンと座って「俺はここで勝負出来ますけど?」
とうそぶいている様が見えるようだ。
もう出ている次作も絶対読むぞ。

50:名無しのオプ
10/01/31 18:28:13 0R654WW7
このスレ削除依頼出しますから。

51:名無しのオプ
10/02/06 22:23:51 mZnehnq6
福田和代「TOKYO BLACK OUT」

犯人の動機と手段に乖離がありすぎ。
リアリティの欠如。
それを埋めるだけの面白さも無し。


52:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/03/02 21:13:23 cG45YDvi
「水魑の如き沈むもの」三津田信三(原書房)

先輩の阿武隈川から頼まれて

53:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/03/02 21:49:07 cG45YDvi
担当編集者偲と奈良県の山村を訪れた刀城言耶は、奇妙な雨乞いの儀式に
立ち会うが、その最中、湖に棲むという水魑様に捧げる供物の樽を沈める
役目の「神男」が密室状態の舟の中で謎の死を遂げる。
早速真相を探ろうとする言耶だったが、権力者の宮司の妨害に遭い
調査は難航する。
そして更なる事件が……。

お馴染みシリーズ5作目。
だがイマイチ。
一番マイナスなのは細かな謎が放置されてる件。
個人的にはメインの謎よりむしろこういう傍流の方に目が向くから、
前作は○だったが本作は×。
特殊な状況下での推理という設定も悪くはないんだけど……何だかなぁ。

他気になったところ。
・(メル欄)はビビらんやろ
・515ページの笑みが不自然


54:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
10/03/02 21:56:23 cG45YDvi
「山田風太郎ミステリー傑作選②十三角関係〈名探偵篇〉」山田風太郎(光文社)
飲み屋でとある売春宿への道を尋ねた美少女を案内することになった
場末の闇医者荊木歓喜。
しかし、着いた先で2人は残虐な殺人事件に遭遇する。
ネオンに彩られた外壁の巨大な風車にマダムのバラバラ死体が
吊り下げられていたのだ! 他8編。

歓喜先生を探偵役に据えた連作。
先に言っておくと、本格としての完成度は必ずしも高いとは言えない。
それはフェアプレーに徹しきれていないから、
そして奇想を論理の先に置いてしまっている場合があるからである。
思うに、前者は分量の問題であり後者は作者の哲学によるのではないか。
後者は別の評価軸でみた場合、長所になるし、余談を余談と感じさせない
渾然一体とした雰囲気を紡ぎ出す物語力には脱帽する。

それでも、表題作や中編『帰去来殺人事件』などは紙幅に余裕が
あったためか、フェアに書かれていると思う。
表題作の真相は本格としては美しくないが、ミステリーとしては
発端とともに妖しい異形の魅力に溢れている。
そしてそこに至るまでの伏線の数々には唸らされた。
『帰去来殺人事件』の方はサスペンスフルな展開と驚くべき
トリックが鮮烈だった。
他の短編も一発大トリックや巧妙な伏線など部分的には面白いかった。
具体的には『チンプン館の殺人』のトリック、『西条家の通り魔』の
トリックと手掛り(後出しなのが悔やまれる)、『お女郎村』の真相
などが印象的だった。
それから歓喜先生は名セリフが多いね。
109、416~417のセリフには喝采した。

この叢書まだまだ読みたい。


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch