『読みました』報告スレッドat MYSTERY
『読みました』報告スレッド - 暇つぶし2ch223:名無しのオプ
10/06/05 15:42:54 JKGKv7Vl
315 :ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE :2010/06 /05(土) 15:29:48
ナンシー・クレス「ベガーズ・イン・スペイン」   5点 
SF者が強く推す作(「2009年 SFが読みたいベスト10第6位」)だが、
まあ、評点はこんなもんでしょ。悪くはない。
この板でも大好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!!
・「ベガーズ・イン・スペイン」
初っ端から表題作。本邦初訳ながらヒューゴー、ネビュラ等のSFに関する
主要な賞をほぼ総なめにした作だそうな。
だが、正直な感想はそれほどの作かという感が強い。
遺伝子操作により誕生した無眠人と有眠人の対立は深まり、無眠人への迫害が
始まる。なんか俺なんかは「スラン」を想起してしまった。
作者は教育と文学を専攻した文系人間ゆえ、遺伝子操作ネタはあっさりと書かれるのみ、
グレッグやテッドちゃんを愛読する科学オタのSF者には、この点は物足らないものがあるやもしれぬ。
ラストは、有眠人の妹のアシストで両親に虐待されている無眠人の子供を救出
したヒロインのリーシャ(無眠人のエリート法律家の卵)は、2人を乗せた車で
州境へと疾走する・・・
姉妹の和解と理解(無眠人と有眠人のそれらを示唆する意もあるが)といった締め、見え過ぎなありきたりな展開と言うしかないか。
・「眠る犬」
「ベガーズ・・・」と被る時間軸の物語で無眠犬ネタである。
ヒロインは、有眠人の少女キャロル・アン。
無眠犬に幼い妹を殺された(事故とも言える状況ではある)ヒロインが
犬の売主へのリベンジを決意(何か逆恨みっぽいが)する。
(結局、成功しないが)
乾いたタッチのハードボイルドな設定と語りが俺好みではある。

224:名無しのオプ
10/06/05 15:45:16 JKGKv7Vl
316 :ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE :2010/06 /05(土) 15:30:38
・「戦争と芸術」
ミリタリーSFに価値観が異なる母子(母が軍人、息子がアーティスト)の
対立関係という構図を配した異色作ではあるが、これは父子関係に置き換えればありきたりなネタに過ぎないとは言い得る。
まあ、最後は全滅フラグであり、母子の和解というたありきたりな展開に
走らないのが救いか。
・「密告者」
この作者にしては、やや読み辛い語りなのが難。
まあ、共有現実という設定を通じて「現実」とは何ぞや、
という感を抱かせるものはある。特にネットという仮想現実に耽溺し妄想を
吐き散らすきらいがあるねらーには、一読させたいものあり。
・「想い出に祈りを」
短い作だが、想い出が蓄積すると脳に負担となり老化するというもっとも
らしくも出鱈目なアイデアが面白くはある。
隣人のナイスガイがヒロインの元夫だったというオチも効いている。
・「ケイシーの帝国」
解説に「SFファンにとってはなんとも痛い物語」とあるように、
あるひとりのSF者の迷走の人生の果てにあった夢の終わりと現実的成功を
描いた作。UFOや宇宙人の存在が確認された時、スペースものSFは終る。
まあ、この点は間違いないでしょうな。
・「ダンシング・オン・エア」
俺が全く興味無しのバレエねたゆえ、どうかなあと思うて読み始めたが、
かなりの面白さであった。科学によりバレエ向きな肉体強化が可能と
なった社会の物語。ヒロイン(記者)の娘(バレリーナの卵デボラ)が最後に
肉体改造を選択する展開は、鉄郎が機械の体をチョイスしたかのような意外性があった。あえてアホなねらー風に書けば、改造され人語を解すガードマン犬
エンジェルが「かわええ~~」。
まあ彼(?)が守るプリマのキャロラインの秘密(遺伝子段階から
そうなるべく操作された天才バレリーナ)は、少しSFを読み慣れていれば
見え過ぎなのが難だ。

225:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
10/06/12 09:01:21 Bt1Lezp9
高木彬光「誘拐」を読んだ。
角川版以来、久々の再読であり、
瑣末な部分(百谷と犯人のさり気ないファーストコンタクトシーン等)の記憶はあれど、何とも懐かしい作ではあった。
現代では営利誘拐(近年は殆ど耳にしないが)というヘビーなネタを
割り切ってお遊びのミステリに徹底使用した姿勢が問題視されるやもしれぬが、
まあ、時代感覚の差で致し方なかろう。
自分は本作にある素朴な庶民的な正義感こそ支持したく思うている。
さて、ミステリ的には誘拐の背後にある意外な意図という相続ネタを絡めた
ドンデン返し、これに失踪宣告ネタを効果的に使用して切り返し、
心神耗弱ネタで締めるリーガル・サスペンス的面白さは、さすがに「破戒法廷」の作者だけのことはあると思うた。
しかし、終盤でフェードアウトしてしまう警察陣の自己弁護に走り勝ちな
無為無策ぶりは、著者のバイアスさえ感じさせるほどの無能ぶり。
いくら何でもこれはないでしょ、かえってリアリティを欠く結果となっているのは残念なり。


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