09/09/26 15:31:08 xNBkyqH5
出木杉英才はしなびた食パンをつまんで溜息をついた
静香はキッチンで食器を洗っている
都心の郊外に借りた1DKは二人で住むには手狭だ
大学在学中から同棲を始め、卒業を機にこのアパートに引っ越した
静香の両親には反対されたが既成事実を作ってしまえば
諦めてくれるという読みがあった
それが功を奏して黙認されている状態だ
静香は国を動かさなければならないことを悟った
行動力は東京大学在学中から遺憾なく発揮された
総選挙の際に選挙事務所に潜り込み人脈を築いた
1年後には大物議員の秘書見習いとしてカバン持ちを任された
同じ小選挙区でIT業界の寵児を自称する男が立候補した
静香は懐かしさにとらわれた 彼のニックネームに
国は政権交代の渦中にあった
静香は郵政・金融担当相に就任した
英才はもういない
静香が28才のときに失踪したからだ