09/09/23 14:28:29 zjnbYXnl
彼との交際が一年を迎えようとした頃、私は彼から一方的に別れを告げられた。
突然の出来事だった。
人間不信に陥り、精神的に憔悴しきって一時は自殺まで考えていた自分を救ってくれたのが彼だった。
いつか彼の好きな桜を見に行った時、満開の八重桜の木の下で、幸せにすると言ってくれた事はずっと忘れない。
不信に思った私は共通の友人を半ば脅迫し、別れの原因を聞きだした。
その口から発せられた内容は信じられないもので、絶望と同時に言いようのない怒りが私の心の奥底からこみあげてきた。
それから私は毎日何度も何度も彼に電話をした。はたからみたら狂人のようだっただろう。
一度電話に出た彼は、もう新しい彼女がいて結婚も考えているからかけてこないでくれと突き放すように電話を切った。
それっきり、彼の電話はつながらなくなってしまった。
それでも私は、諦めなかった。
彼の実家に連日押しかけ、彼に会わせてくれと懇願した。
ついに私は精神的にまいってしまい、見兼ねた友人が病院へと連れていってくれた。
ドアをあけるとそこに彼がいた。
ゆっくりとベッドに歩み寄る私。
「悪いけど、そばにいさせてもらうから…幸せにしてくれるって約束したじゃない」
私は、細くなった彼の手を握りしめた。
彼は俯いてごめんと言いかけたが、私の目を見て
「ありがとう」と言った。
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それから年月が経った。
今でも桜の季節が来ると、信じる心と生きる勇気を教えてくれた彼を思い出す。