09/06/18 14:17:31 z/GX5l5R
「宇宙戦艦山本の密室」
205×年6月18日。亜光速惑星間航行宇宙船『宇宙戦艦山本』は
NASA外局ハミルトン宇宙センターでの最後の点検と燃料・食糧補給を終え、
ニューポート発射場へと移された。
あの忌まわしい世界恐慌と、昨今いくつかの宇宙開発団体で相次いで発覚した
一連の汚職事件により停滞していたISSⅡ(第二国際宇宙ステーション)の、
実に数年ぶりとなる組立再開ミッションで、『山本』が再び宇宙センターに戻るのは
1年後のことだ。尤も、乗組員たちの体感ではそれは亜光速航行によるローレンツ変換下の
時間の遅れにより、相対としてたかだか往復四日間の旅に過ぎないのであるが。
ちなみに上の説明はただの雰囲気作りで作者も全然意味がわかってないので
読み飛ばしてくれて全く構わないのであった。
地上時刻17:00。五人の宇宙飛行士たちは、詰めかけたマスコミや各々の知人、
多くの物見高い観光客たちの黄色い歓声を浴びながらフライトデッキへ乗り込み
操縦席に着くと、艦内に働く重力発生装置のおかげで実際のところ旅客機のそれと
大差ないシートベルトを締め(クルーの安全を第一にプログラミングされた人工知能
春香700000000によって制御される重力装置と大気調整システムによって、彼らは地球と
全く変わりない環境下で―宇宙服さえ着用せずに宇宙に飛び出すことが出来るのだ!)、
管制センターからの無線連絡を待った。
まもなく秒読みが始まる。そして、カウントがゼロになると同時に宇宙船は轟音と共に
夕暮れの空へ昇っていった。
欠勤した担当者に替わり、偉大なるセンター長ジョシュア・ハミルトン卿は直々に、
厳かに打ち上げの成功を宣言した。