08/10/31 15:54:14 h5zTH/Gj
日差しは眩しいのに、芝生は思ったよりひんやりしてました。
その日のマサルは、なんだかいつもよりはしゃいでいて、
普段木登りなんかしたことないくせに、止めるのも聞かず
庭にある大きな樹に登りはじめました。
「やめなよ、あぶないよ」
「だいじょうぶ、だいじょ……!!」
―マサルと遊んだのは、それが最後になりました。
太く丈夫に見えた枝に跨ったときに、それがぽっきり折れて
マサルは地面に叩きつけられました。
下は芝生だし大した高さではなかった筈ですが落ち方がマズかったようで、
結局意識も戻らないままで亡くなったのです。
それからもう1年になります。前から決まっていたとおり、進学を期に
家の老朽化と通学の都合で、マサルと遊んだ町から離れました。
とは言っても隣町です。マンション19階の自分の部屋からは、あの樹が小さく見えます。
時折、マサルのことを思い出して陰鬱な気持ちになります。
あんな事故があったんだから、切り倒せばいいのにと思います。