08/10/31 15:53:41 h5zTH/Gj
それは、夏休みの最終日でした。
例によって終わっていない宿題の山と格闘していたら、部屋の窓を誰かが叩きました。
見ると、マサルが相変わらずよく灼けた笑顔で
「なんだよ、宿題なんていいじゃん。いこうぜ」
と誘ってきます。
こっちはやっとの思いで入った私立中学で、勉強についていくのがやっとの状態。
いいじゃんといわれても困ります。
しばらく無視していましたが、マサルは悲しそうな目で「こいよー」としつこく誘います。
正直、宿題には―いや、マサルのいない中学にももう嫌気がさしてきていたので、
少しずつ「やらなくてもいいか……」という気になってきました。
「わかったよ、もういいや」
そう言って机から立ち上がると、マサルはすごく嬉しそうでした。
「よし、いこ」
椅子を踏み台にして、裸足のまま窓から飛び降りました。
マサルが、手を引いてくれました。