08/12/20 23:33:28 tv7Q0faf
ゲホッ・・・ゲホッ、ゲホッ・・・。
馴れないお酒をボトルごとラッパ飲みした私は、たちまち噎せてしてしまった。
ガクンと体が大きく前にのめり、締め付けられた苦しさで胃の中のものまで吐き出した。
なのに口を拭いもせず、そのまま突っ伏した。
「・・・私ったら、いつまでも彼のこと引きずるなんて・・・」
窓の外の観覧車が、ぼんやり開いた眼に映る。クリスマスバージョンの赤いイルミネーションが
とてもキレイだ。去年のクリスマス、あのゴンドラが真上に来た時に初めてキスしたんだっけ。
あの時は彼と私はずっと一緒だと思ってたのに・・・。
彼の白くて長い指がとても好きだった。彼の指が私の髪を弄るだけで、私は快感のうねりの中にいた。
眩いばかりの赤い光が目に飛び込んできた。やめて、今の私には彼とのことを思い出して辛くなるから・・・。
私は眼を閉じた。
ドン、ドン、ドン!
不意にドアを激しく叩く音に、私はうっすらと目を開けた。
誰なの?こんな時に・・・。私はこのまま眠っていたいのに・・・。
私はゆっくりと体を起こすと、ドアに手をかけた。
警官に体を支えられて車を降りるとき、ボディの下のボロボロになった服と肉片が眼に入った。
でも私の好きだったあの白く長い指だけは嘘みたいに無傷でバンパーにぶら下がっていた・・・。