08/11/27 02:03:22 IsobGKNh
『路上喫煙ヲ禁ズ』
「タバコはご遠慮いただけますか?」
サラリーマンらしき若い男が振り返る。眼が釣りあがってた。
「なんだ、ここも禁煙とでも言うつもりか?」
「条例による禁煙指定区域です。申し訳ありませんが」
制服を着た中年の男が携帯灰皿を差し出している。
男はいまいましげに、火をつけたばかりの煙草を押し付けた。
「どこもかしこも……一体どこで吸えって言うんだ!」
「警告しておきますが、中央通りなどで吸われますと罰金がとられますよ」
通勤の途中なのか、若い男はぶつぶつ呟きながら去っていった。
中年男はネクタイと制服の乱れを直すと、再び歩き出した。
ゆったりとした歩調だが目つきは刑事のように鋭い。
遠くでOLの女が煙草の箱を取り出している。男はカッと目を見開くと、足早に駆け出した。
(続)