『読みました』報告・海外編Part.4 at MYSTERY
『読みました』報告・海外編Part.4 - 暇つぶし2ch120:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
09/01/11 09:09:08 N8V47F8j
コナン・ドイル「勇将ジェラールの回想」を読んだ。
年末・年始の読書に向いたナポレオン戦争時代を背景にした楽しい連作時代小説ゆえ、
久々に再読してみた。
勇将と冠した邦題がシニカルに思えるくらいどじっ子ぶりが際立ち、
正直言うて、本シリーズの実態はユーモア小説である。
ダルタニアン物語や007シリーズと比較する論が見受けられるのには「?」、
ゆえに、ミュンハウゼンのほら男爵との比較は妥当という感あり。
ここまでジェラールを戯画化出来たのは、やはり作者が英国人であり客観的にユーモアの対象に
出来たからであろう。フランスの作家では難しかったのではないか。
では、全話講評逝ってみよう!
第1話 准将が<<陰鬱な城>>へ乗り込んだ顛末
ジェラールが好漢デュロク少尉の助太刀のため仇が潜伏する城に乗り込み男気を見せる。
しかし、真にカッコ良いといえるのはこのエピぐらいなのである。
第2話 准将がアジャクショの殺し屋組員を斬った顛末
剣戟を披露するとはいえ、ナポレオンのコルシカ時代の腐れ縁の後始末の手先にされるだけ
とも言い得るエピ(細かい説明は無し)
第3話 准将が王様をつかんだ顛末
スペインのゲリラに捉えられたうえ、最後は英軍の捕虜となる顛末。
ゲリラの首領を倒すのもバート(准男)こと英軍のラッセルだし、いいとこ無しの主人公。
第4話 王様が准将を捕えた顛末
脱走を試みるもののぐるっと廻って元に戻る間抜けぶり、
しかも脱走そのものが無意味だったというオチまでつく。ここまで来ると間違いなく滑稽談か。
第5話 准将がミルフラール元帥に戦闘をしかけた顛末
ミルフラール元帥こと元イギリス近衛連隊将校アレックシス・モーガン一味の討伐を命じられた
ジェラール、途中で盟友バートの一隊とも合流するのだが、クセモノにして配下にも人気者の
ミルフラールの策にはまってしまう・・・最後の台詞がなんともシニカルや。
今回も主人公は全くと言うていいくらい良いとこ無し。

121:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
09/01/11 09:10:07 N8V47F8j
第6話 准将が王国を賭けてゲームをした顛末
ドイツ融和のため疾駆するジェラールだが・・・
「宮殿の窓から指摘した大きな星(ナポレオンの星)が西の空で色が薄く、
霞んでいるのが見られた」
この締めの一文から結果がわかろうか。
第7話 准将が勲章をもらった顛末
レジヨンドヌールはもらえることはもらえるのだが、これって御苦労賃?
第8話 准将に悪魔が誘惑された顛末
これも2話&7話同様にナポレオン直々の指令談。
ナポレオンの密書ねたにして限りなくほら話の匂いが濃厚。

旅団長まで出世する主人公ジェラールだが、自信満々の語りのわりには、
中尉時代の上司(大佐)の評価は「拍車と口髭のことに凝り固まり、女と馬のほかは何も考えない奴・・・」(2話)
5話でまんまとジェラールをはめるミルフラール元帥も「マセナ元帥(ミルフラール討伐を命じた)は
多忙を極めていて、あなたのことなどあまり念頭になさそうですよ」と言われてしまう始末。
その行動を見ても、第6話では女と話し込んでいて4時間も使命を忘れ去っていたり、
第7話では使命を言い訳にしてひとり地下室に逃げ込んだと思われるシーンがあったり等、
ヒーローとして感心しないものが多い感あり。
まあ、、本人もその総大将であるナポレオンから、その勇気ともかく知力は評価されていない点
を残念に思うという語りもあるのだが・・

122:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
09/01/12 09:40:24 LWktV3dh
コナン・ドイル「勇将ジェラールの冒険」を読んだ。
「回想」に続くジェラール准将冒険談の完結篇。
全話講評逝ってみよう!!
・「准将が耳をなくした顛末」
ジェラールが男気を見せて耳をなくすというちょいグロいエピ。
だがそれだけとも言えるエピ。
・「准将がサラゴッサ市を占領した顛末」
准将のサラゴッサ市潜入談。このエピは007風でスリリングに一気に読ませる感あり。
・「准将が狐を殺した顛末」
あとがきによれば、ジェラールもの中で作者が一番愛好した作とあるが、
前述したとおり、今読むと動物虐待とも見える狐狩りのネタは後味が悪く好きになれないもの
がある。
・「准将が軍隊を救った顛末」
タイトルは「?」。
軍隊を救う結果となったのはデ・ポンバル(ゲリラの副官)の優れた機転ではないのか?
デュプレシス(ジェラールの同僚)も悲惨過ぎ。
・「准将がイギリスで勝利を収めた顛末」
例によってラストのジェラールの自惚れ過ぎな感はあれど、決闘の顛末を粋に描いた作ではある。
・「准将がミンスクに馬を進めた顛末」
つまり「馬を進めた」だけなのである。最後に剣戟を見せるとはいえ、
全編を通じてはジェラールがどじっ子ぶりを発揮するエピ。
どう見てもロシア娘はジェラールに惚れてはいないように読めるのだが、相変わらずの自惚れぶり
に笑える。

123:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
09/01/12 09:41:14 LWktV3dh
・「准将がワーテルローで奮戦した顛末」
「森の居酒屋の話」「九騎のプロシア軍騎兵の話」から成る二部構成。
後者はナポレオンの身代わりとなったジェラールがプロシア騎兵からチェースされる非常に
スリリングなエピに仕上がってはいるが、結末はあっけない。
ナポレオンから「伝令の鬼」とからかい口調で呼ばれ、
事実を告げたのに「おまえはいつも戯けた奴だったな」と一刀両断されてまうジェラール、
本人の自己評価に反して、彼氏が敬愛する陛下の偽らざる評価は「これ」だったのではないか。
・「准将最後の冒険」
「おお!ナポレオン・・・」という感想に尽きる一編かな。
もうちょい読みたいジェラール談であったが、このエピを持って来てしまうと、もう終わるしかないか。

124:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
09/01/15 04:17:24 zlVize6L
「カインの眼」パトリック・ボーウェン(ランダムハウス講談社)

リアリティ番組の出演者として選ばれた10人の男女。会場となるはずの
ホテルへ移動中、彼らは乗ったバスごと砂漠の真ん中に拉致されて
しまった。そこは廃虚と化した町。集団生活を余儀なくされる
彼らだったが、一人また一人と消えていく……。

「そし誰」に挑戦したミステリーとのキャッチだが、要するにCCでしょ?
で、作者がフランス人って不安だなぁと思いつつ読み始めた。

CCみたいなもんなんだけど、どうも徹底していなくてそれが
フーダニットの弱さに繋がっている印象。登場人物がそれぞれ
抱える秘密が次第に明らかになっていく展開は引き込まれたけどね。
そんで、終盤やつぎばやの展開にこっちのページを繰る手も速まる訳だが、
このオチは何やねん!
無茶過ぎるだろw
これで「ああ、だからか」と納得した疑問もわずかにあったが、
代わりに新たな不審点が束になって押し寄せて来るw

作者としては「平仄なんか知らねーよとにかく驚け!」
てなもんなんだろうか?
医者が激務の合間に書いたらしいから雑になるのも道理か?
バカミスアワードにノミニーされてもおかしくないがスルーされた?
そういや作者は「アイデンティティー」に触発されて書いたらしい。
あれも相当なオチの映画だったけど、本作と違って喜んで薦めるよw
つうか、本作も映画化進行中らしいが、絶対叩かれると思う。断言する。

最後に気になった点の内いくつかを。
・訳者は海外ドラマの邦題をちゃんと調べてない。
・インターンが変温動物もルミノールも知らん訳ない。
・運転手が(メル欄)した理由。


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